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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(し)19号 決定 1953年10月23日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告の理由は末尾添附別紙記載のとおりでこれに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

原決定の理由は刑事訴訟法一四六条の規定は証人として証言をする段階を基準としてその時に過去に属する事実について云うのであり、証人小口豊並びに各弁護人が申述べることは右規定にいわゆる刑事訴追を受ける虞れがある場合に当らないから、証言拒否の理由にはならないというのである。そして右規定にいう刑事訴追を受ける虞れがあるということは、証言の内容自体に刑事訴追を受ける虞れのある事実を包含する場合をいうものであるから、証人が真実の証言をしようとする場合に偽証罪の訴追を受ける虞れありとして証言を拒否し得ないものであること、及びかかる刑訴法上の解釈が憲法三八条一項との関連において許されるものであることは既に当裁判所の判例としておるのである(昭和二八年(し)第二六号、昭和二八年九月一日第三小法廷決定参照)。然らば原決定には所論の如き憲法違反若しくは憲法の解釈を誤った違法なく本件抗告はその理由がない。

よって刑訴四三四条四二六条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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