最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)2010号 決定 1956年12月22日
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人東京燐寸工業株式会社代表者鶴真吾の上告趣意について。
第一点及び第三点において判例違反を強調するけれども、原審は、物品税逋脱罪には不正手段が積極的に行われることを要しないとは判断していないのであるから、引用の判例と相反する判断をしたものではなく、所論は第二点と共に、ただ、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
弁護人渡辺靖一の上告趣意について。
第一点及び第二点は事実誤認の主張、第三点は単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(物品税法二二条により法人を処罰するには、その代表者又は従業者がその法人の業務に関し同条所定の違反行為をしたことが証明されれば足り、行為者が処罰されることを要件とするものでないとした原審の解釈は正当である)。
なお、本件については記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)