最高裁判所第二小法廷 昭和29年(オ)563号 判決 1956年11月30日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
抵当権の実行による不動産競売手続において配当表が作成された場合、異議のある抵当権者は、本件のごとく抵当権者相互の抵当権の存否、順位、被担保債権の範囲、並びに競売手続において配当を受くべき金額等を主張して配当表に対する異議の訴訟を提起し得るものと解するを相当とする。けだし、かかる訴を提起し得ると解することは、なんら競売法の精神に反するものとは認め難いし、かつ右のごとく異議のある抵当権者の不服方法を、単に競売手続終了後における不当利得返還の請求だけに限定すべき法理は存しないからである。論旨引用の判例は、配当異議の訴訟を提起し得るかどうかの問題に関するものではなく、本件に適切でない。されば論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克)