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最高裁判所第二小法廷 昭和30年(あ)1702号 決定 1955年12月21日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人渡辺御千夫の上告趣意第一点引用の判例は、賄賂罪に関するもので、本件に適切でなく、同第二点は事実誤認の主張であって、いずれも刑訴四〇五条の上告の理由にあたらない。(原判決が、公職選挙法二二一条一項一号の供与罪の成立につき、「供与者の目的意思如何によって片面的にこれを決すべきものであって、受与者の認識如何によって左右せらるべきものでない」と判示したことは供与罪の性質を誤解したものであって、同号にいわゆる供与とは供与の申込だけでは足らず、申込を受けたものが、その供与の趣旨を認識してこれを受領することを要することは、同号において「供与」と「供与の申込」とを区別して規定しているところから明らかである。しかしながら、第一審判決認定の事実関係によれば被告人に対して、同号所定の供与の申込罪が成立することはあきらかであるから本件については刑訴四一一条を適用しない。)

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)

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