最高裁判所第二小法廷 昭和30年(オ)137号 判決 1956年11月16日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人時田至の上告理由について。
本件家屋の係争各六畳室に対する被上告人等の使用関係については、原判決は、判示各証拠を綜合して、その使用料は右各室使用の対価として支払われたものであり、被上告人等と訴外会社との間の右室に関する使用契約は、本件家屋が訴外会社の従業員専用の寮であることにかかわりなく、これを賃貸借契約と解すべきであるとしていることは原判文上明らかである。およそ、会社その他の従業員のいわゆる社宅寮等の使用関係についても、その態様はいろいろであつて必ずしも一律にその法律上の性質を論ずることはできないのであつて本件被上告人等の右室使用の関係を、原判決が諸般の証拠を綜合して認定した事実にもとづき賃貸借関係であると判断したことをもつて所論のような理由によつて、直ちにあやまりであると即断することはできない。論旨は、ひつきよう、原判決の右判断の基礎となつた事実の認定を争うに帰し採用することはできない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)