最高裁判所第二小法廷 昭和30年(オ)710号 判決 1958年2月21日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人江崎三郎の上告理由について。
株式会社梅村組宮崎出張所は、上告人会社(株式会社梅村組)の開設したものであり、同出張所は上告人会社との間に原判示のごとき連絡事務を取扱つていたこと、富永政義は同出張所長名義を使用していたこと、同人は梅村組宮崎出張所名義をもつて、他と、上告人会社の営業たる土木建築請負業と同業に属する工事請負契約をなし(ただし同出張所の独立会計に依る)、かかる事例は既往二三あり、上告人会社もその事実を諒知していたことは原判決の確定するところであつて、原判決が如上事実関係にもとずき、上告人会社は富永政義に自己の商号を使用して営業を為すことを許諾したものとみとめるべきであるとしたことは正当である。
原判決に論旨第一点指摘のような矛盾はなく、また第三点に主張のような法令解釈の誤りもない。同第二点は事実誤認の主張であつて適法な上告の理由とならない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)