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最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)1719号 決定 1956年8月22日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人上田誠吉、同佐藤義弥の上告趣意第一点について。

所論は、原判決自体の違法を主張するものではないから、上告適法の理由にならない。

同第二点について。

原判決は、被告人の第一審公判供述及び検察官に対する供述調書の外、呉甲斗の検察官に対する供述調書、小林しげの司法警察員に対する供述調書、司法警察員作成の捜索差押調書、領置調書、警察技術吏員作成の鑑定書、領置にかかる覚せい剤注射液三、二四八本を除くアルコールランプ等の領置物件の存在を補強証拠として被告人が吉田勝子と共同して所論覚せい剤注射液五cc入アンプル三、二五〇本を超える約四、四〇〇本をも製造した旨の事実を認定したものであって、該事実認定は右証拠により十分肯認することができるから、所論違憲の主張は、その前提を欠き上告適法の理由にならない。

同第三点について。

巡査本田清善は司法巡査であること所論のとおりであるが、昭和二九年国家公安委員会規則五号の定めるところにより、当該管区警察局長が特に必要があると認めて同巡査を司法警察員に指定したものであり、すなわち同巡査は司法警察員の資格において所論小林しげの供述調書を作成したものであるから、これを証拠に採用した原判決には何等違法のかどなく、所論違憲の主張は、その前提を欠き上告適法の理由にならない。

同第四点について。

所論は、事実誤認、審理不尽の主張に帰し上告適法の理由にならない。

同第五点及び弁護人猪狩一の上告趣意について。

いずれも量刑不当の主張を出でないものであって、上告適法の理由にならない。

本件は、なお記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)

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