最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)3112号 判決 1958年10月24日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人矢部善夫、同松尾菊太郎の上告趣意第一点について。
所論は違憲を主張するけれども、刑法二二〇条二項の規定が憲法一四条の規定に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判例の趣旨に徴し明らかである(昭和二五年(あ)第二九二号同年一〇月一一日大法廷判決、集四巻一〇号二〇三七頁、昭和二四年(れ)二一〇五号同二五年一〇月二五日大法廷判決、集四巻一〇号二一二六頁、昭和二六年(あ)二一三七号同二九年一月二〇日大法廷判決、集八巻一号五二頁、昭和二八年(あ)一一二六号同三二年二月二〇日大法廷判決、集一一巻二号八二四頁参照)。
同第二点について。
所論は原審の認定に副わない事実を前提とする主張及び単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第三点について。
所論は憲法違反をいう点があるけれども、要するに原審が被告人の自首の事実を認めず自首減軽をしなかったことを非難するに過ぎないのであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第四点について。
所論は判例違反を主張するけれども、原判決が所論の如く「本件被告人が被害者テルノを殺害したかの如くほのめかし、これを以て本件量刑の一つの目安とした」とは認められないのであって、所論判例違反の主張は前提を欠くものといわねばならない。
同第五点について。
所論は量刑不当の主張を出ず刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)