最高裁判所第二小法廷 昭和32年(あ)2327号 判決 1958年6月27日
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人本人の上告趣意について、
所論は事実誤認の主張を出でないものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお被告人の司法警察員及び検察官に対する所論供述調書が任意性を欠くと認むべき資料は存しないばかりでなく、第一審公判において、被告人及び弁護人がこれを証拠とすることに同意していること記録上明らかである。)
弁護人後藤昌次郎、同岡崎源一の上告趣意について、
しかし刑法の死刑の規定は憲法九条、一三条及び三六条に違反するものでないことは既に当裁判所の判例(昭和二四年新(れ)第三三五号、同二六年四月一八日大法廷判決、集五巻五号九三三頁、昭和二二年(れ)第一一九号、同二三年三月一二日大法廷判決、集二巻三号一九一頁)とするところであり、今なおこれを変更すべきものとは認められない。従って、原判決が被告人に対して死刑の言渡をなしたことの違憲を主張する所論は理由がない。所論のうち事実誤認を主張する点は、適法な上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)