最高裁判所第二小法廷 昭和32年(あ)2587号 決定 1958年3月19日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人岡田直寛の上告趣意は、違憲をいうがその実質は法令違反の主張であって刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。のみならず刑法二二〇条一項にいう「監禁」とは、人を一定の区域場所から脱出できないようにしてその自由を拘束することをいい、その方法は、必ずしも所論のように暴行又は脅迫による場合のみに限らず、偽計によって被害者の錯誤を利用する場合をも含むものと解するを相当とする。されば、原判決が右と同旨に出で、第一審判決第三摘示の被告人の所為を不法監禁罪に当たるとしたのはまことに正当である。それ故所論はその実質においても理由がない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)