大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和32年(オ)1033号 判決 1959年6月19日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人戸毛亮蔵の上告理由第一点について。

原判決がその主文においてなした強制執行停止決定認可の裁判は、民訴五四九条四項、五四八条一項に従つてなされたものであることが明らかである。ところで、同法五四八条三項には、「右裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ズ」と規定されており、そこにいう「右裁判」とは、同条一項の裁判をも指称するものと解すべきである(大審院昭和一〇年(オ)第一二六二号、同年一〇月一日判決、民集一四巻一七三二頁参照)。したがつて、原審の裁判に、所論のような不当の点があつたとしても、これに対しては、不服を申し立てえないものといわなければならない。所論はこれを採用しない。

同第二点について。

「本件物件が元上森広吉の所有でなかつた点についての判断を示さなければならない。」とする論旨は、独自の見解であり、また、所論上森妙子、同上森広吉の証言中、原審の認定に反する部分は、原審が措信しなかつたものであること原判文上明らかであつて、原判決には所論の違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例