最高裁判所第二小法廷 昭和33年(オ)937号 判決 1961年4月07日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人矢吹幸太郎の上告理由第一点について。
所論乙第四号証の成立は被上告人の否認するところであつて、原判決が論旨摘録のように「他に前示認定をくつがえすに足る証拠はない」と判示しているのは、同号証の成立を認め得ない趣旨をも含むものと解するのが相当である。それ故、原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。(論旨引用の各判例は、いずれも本件に適切でない。)
同第二点について。
原審は、その挙示する各証拠調の結果並に弁論の全趣旨をそう合して原判示事実(ただし、甲第一号証の記載に照らせば、本件白楊材引渡の日を「昭和三一年四月一日」と判示しているのは、「昭和三一年四月一二日」の誤記と認められる。)を認定しているのであつて、右弁論の全趣旨が何を指すかは、本件記録を照合すればおのずから明らかであるから、原判決には所論(六)のような理由不備の違法はない。
その他の所論は、すべて、原審が適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用のかぎりでない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)