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最高裁判所第二小法廷 昭和34年(オ)1109号 判決 1962年5月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人宮岸友吉の上告理由第一点ないし第五点について。

原審が証拠によつて適法に認定した事実によれば、原判示の調停においては、さきに昭和二一年八月二四日被上告人、上告人直太郎間でなされた本件不動産の売買が確認され、その約定が付加訂正されたものと解するのが相当であるから、被上告人のため右売買に基づいてなされた本件仮登記の効力は所論のように否定さるべきものでなく、また所論「仮登記に流用する黙示的合意の成立」云々の原判示は結局、蛇足の説明に帰するものというの外なく、右仮登記に基づく本登記は本件の実体的権利関係に符合するものである。従つて、かりに本登記申請の過程において手続上の誤謬があつたとしても、右本登記は登記としての対抗力を有するものとした原判示は正当である。引用の判例は本件に適切でなく、原審に所論違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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