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最高裁判所第二小法廷 昭和39年(あ)2614号 決定 1965年9月08日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人岡崎源一の上告趣意第一点について。

所論は、単なる法令違反および事実誤認の主張であって、いずれも上告適法の理由に当らない。なお、被告人の本件確定申告を、所得税法六九条一項にいう不正の行為に当るものとした原審の判断は、相当である。

同第二点について。

所論は、単なる法令違反および事実誤認の主張であって、いずれも上告適法の理由に当らない。なお、所得税法一〇条一項にいう収入すべき金額とは、収入すべき権利の確定した金額をいい、その確定の時期は、いわゆる事業所得にかかる売買代金債権については、法律上これを行使することができるようになったときと解するのが相当である。そして、原審の認定した事実によると、所論売買契約にもとづく一億二〇〇〇万円の代金債権は、昭和三四年度に行使することができるようになったものであるから、これを同年度に収入すべき金額であるとした原審の判断は、結論において正当であるといわなければならない。また、所論二〇〇〇万円は、原審の認定した事実によると、いわゆる解約手附として受取ったものであるところ、解約手附は、両当事者が契約の解除権を留保するとともに、これを行使した場合の損害賠償額となるものとして、あらかじめ授受するに過ぎないものであって、それを受取ったからといって、それを受取るべき権利が確定しているわけではないから、そのままでは、前記収入すべき権利の確定した金額には当らないものと解するのが相当である。

同第三点について。

所論は、単なる法令違反の主張であって、上告適法の理由に当らない。

また、記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)

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