大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)727号 判決 1966年10月21日

上告人(被告・控訴人) 水上甚五郎

被上告人(原告・被控訴人)

株式会社北海道相互銀行

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由一および二について。

上告人が所論ビジネス掛金債務を保証した旨の原審の事実認定は、その挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右認定事実と原審挙示のその他の証拠関係に照らせば、上告人が訴外落合徹の被上告人に対して負担する本件貸金債務について連帯保証した旨の原審の事実認定もまた、首肯するに足りる。論旨は、るる述べるけれども、ひっきょうするに、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用に値しない。

同三および四について。

上告人が本件貸金債務について連帯保証したのは訴外落合徹の無権代理行為によるものであったことは、原審において主張判断を経なかったところである。論旨は、ひっきょうするに、原審の認定判断を経ない事項を主張し、これを前提として原判決を非難するものであって、原判決には所論の違法を認めえないから、論旨は採用できない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

上告人の上告理由

一、原審判決は訴外落合徹は函館市堀川町において日進電気という電気器具の販売を業とする会社を経営していたが、被上告人会社亀田支店と提携し日進電気からテレビを購入する者がその代金相当額を右亀田支店から借受け、日進電気に支払い、亀田支店に対してはビジネス掛金という名の下に割賦払の方法で返済してゆくが、これについて右訴外人及び上告人が保証している如く認定しているが、原審上告人本人尋問の結果に徴しても、上告人は右ビジネス掛金について保証した事実がないのである。<省略>

二、<省略>

三、以上のように本件消費貸借の保証については上告人は全く関知しないことであり、訴外落合徹の無権代理行為によって行われたものでありたとえ、被上告人において表見代理行為であり、上告人においてその責に任じなければならないと主張しても具体的に表見代理の主張がないばかりか被上告人において表見代理が成立するについての正当事由がなく、且つ過失がある。殊に被上告人は銀行業者としての注意義務を著しく欠いている。<省略>

四、<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例