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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(し)10号 決定 1967年5月26日

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告申立の理由は、末尾添付書面記載のとおりである。

所論のうち、憲法三七条違反を主張する点について。

刑訴法二〇条七号の前審の裁判とは、上訴により不服を申し立てられた当該事件の裁判を指すものであり、再審は上訴に属しないのであるから、申立人に対する強盗殺人、殺人被告事件の確定判決となった第一審判決に対する控訴を棄却した控訴審の審理に関与した裁判官中村義正が、さらに、本件再審請求事件の抗告審の審理に関与しても、前審の裁判をした裁判官として、再審請求事件の審理手続から除斥されるものではなく、(昭和三四年(し)第三号同年二月一九日第一小法廷決定、集一三巻二号一七九頁参照)、また記録上、本件再審の請求を棄却する決定に対する即時抗告を棄却した裁判官は、なんら不公正な判断をしたことも認められない。また、申立人の主張する意見書なるものは、本件とは別件の札幌高等裁判所昭和三八年(お)第二号事件について、同裁判所が申立人に意見を求めたのに対して提出されたものと認められ、本件の関係で、提出を求められたものではないことが明らかである。されば、所論違憲の主張は、その前提を欠き、特別抗告適法の理由とならない。

その余の所論は、憲法三一条違反を主張する点もあるが、実質はすべて、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四三三条の適法な特別抗告の理由にあたらない。(刑訴法四三五条二号にいう原判決の証拠となった「証言」とは、証人としてなされた証言のみをいい、相被告人の公判廷における供述のごときものはこれに含まれないと解するのが相当である)。

よって、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

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