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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)608号 判決 1970年1月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人岡本一太郎の上告理由第一点および第三点について。

論旨は、要するに、被上告人らはそれぞれ訴外協進電気工業株式会社に対する売掛代金債権および貸金債権の支払のため同訴外会社から本件各約束手形の裏書譲渡を受けたものであるところ、右各債権についてはすでに消滅時効が完成し裏書の原因関係が消滅しているのであり、このような場合には、振出人である訴外大阪大洋電気株式会社に対しても被上告人らが本件約束手形上の権利を行使することは許されない旨を主張するものであるが、右原因関係上の各債権につきその債務者である訴外協進電気工業株式会社において消滅時効を援用した事実は上告人の主張立証していないところであるから、上告人において右各債権の時効による消滅を直ちに主張することはできないものというべきである。したがつて、右各債権の消滅を前提にして原判決の違法をいう論旨は、この点においてすでに失当であつて、採用することができない。

同第二点について。

被上告人らが訴外協進電気工業株式会社に対する債権を放棄したものとは認められない旨の原判決の認定・判断は、挙示の証拠に照らして肯認することができ、右認定・判断に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断および事実認定を非難するものであつて、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

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