大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和43年(あ)2846号 決定 1970年7月25日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人桜井紀(名義)の上告趣意第一点のうち、憲法二一条違反をいう点について。

所論は、昭和二四年岐阜県条例第二八号行進又は示威運動に関する条例は、許可を要する集団行進にあたるとするために必要な参加人員の最小限度について、明確かつ具体的な基準を定めておらず、また、五条にいう「組織し」ということばが不明確であるから、憲法二一条に違反するというのである。

右条例が、許可を要する集団行進にあたるとするために必要な参加人員の最小限度を具体的に規定していないことは所論のとおりであるが、その一条によると、許可を要する集団行進は、道路、公園その他の公共の用に供せられる場所の利用に関する私的または公的な権利を排除し、または妨害してする車馬または徒歩の集団の行進であるというのであるから、その参加人員は、右のような公私の権利を排除しまたは妨害するに足りるような多数人であることを必要とするものであることが明らかであり、また、「組織」しというのは、多数人を集団として行進させることを計画し、主催し、指導し、または煽動して集団行進をさせることをいうものであることが明らかであり、いずれも解釈の客観性をたもちうるものであるから、所論は前提を欠き、上告適法の理由にあたらない。

《中略》

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例