大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和44年(オ)538号 判決 1969年9月12日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人武並覚郎の上告理由について。

原審の適法に確定したところによれば、本件建物を含む四戸の建物の建築を注文した被上告人は、これを請け負つた上告人香川義光に対し、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、なお、工事の進行に応じ、残代金の支払をして来たというのであるが、右のような事実関係のもとにおいては、特段の事情のないかぎり、建築された建物の所有権は、引渡をまつまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属するものと解するのが相当であるから、これと同旨の見地に立ち、本件建物の所有権は、昭和三九年三月末以前の、それが建物として完成したと目される時点において被上告人に帰したものとした趣旨と解される原審の判断は正当であつて、この点につき、原判決に所論の違法は認められない。それ故、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例