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最高裁判所第二小法廷 昭和44年(オ)885号 判決 1970年1月30日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人井上吾郎、同佐野実の上告理由について。

記録によれば、昭和四四年二月一三日午前一〇時の原審における最初の口頭弁論期日において、原審が出頭しなかつた控訴(上告)代理人において控訴状を陳述したものとみなしていることが認められる。民訴法一三八条は控訴審にも適用があるから、原審の右措置はもとより適法であり、また、その旨を記載した原判決の事実摘示も適法である。されば、この点に関する所論は採用できない。

また、記録によれば、所論の準備書面(その内容は、第一審判決事実欄記載の上告人-原告-の主張と同一である。)を陳述した旨の記載がないから、原審において控訴(上告)代理人が右準備書面を陳述しなかつたことは明らかであり、右準備書面を陳述した旨の所論は、採用できない。

さらに、記録によれば、証人大満儀一の証人尋問が唯一の証拠方法ではないから、その取調をしないで審理を終結しても違法でないことも明らかである。されば、この点に関する所論も採用できない。

なお、論旨中には違憲をいう点もあるが、その所論は、ひつきよう、上来の判示を非難するに帰するところ、その理由のないことは、すでに説示したとおりであるから、採用できない。

されば、論旨は、すべて採用に値いしない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

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