最高裁判所第二小法廷 昭和45年(行ツ)103号 判決 1974年12月23日
上告人 株式会社志んどう
被上告人 横須賀税務署長
訴訟代理人 高橋健吉
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人平井篤郎の上告理由(一)の一及び三について。
昭和三八年法律第六五号によつて追加された租税特別措置法六五条の四、五は所定の特定資産の譲渡により法人に譲渡益が発生した場合についての課税の特例に関する規定であるから、一般に相当額の譲渡益を生じないような種類の資産の譲渡をその対象として予定するものではないと解されるところ、建物の附属設備は、建物から独立しては、通常さほど大きな交換価値を有するものではなく。したがつて、譲渡益を生じにくいものである。建物内に施設されている機械及び装置も同様であつて、右六五条の四第一項四号は、このような機械及び装置については、当該建物の譲渡に伴つて譲渡されるものに限り、右特例に関する規定を適用すべきことを明らかにしているのである。そして、規定の文言上、特に建物の附属設備を単独に譲渡した場合にも特例を認めるべきものとする趣旨がうかがわれるわけではないのであるから、以上の点から考えて、附属設備については、法は、それが附属された法人所有の建物と一体として譲渡された場合に限り右特例に関する規定を適用すべきものとする趣旨と解されるのであつて、建物の附属設備だけを単独に譲渡した場合には、その適用はないものと解するのが相当である。なお、右租税特別措置法六五条の四、五が所論各規定と解釈を異にすることがあるとしても、両者の規定はその趣旨、目的を異にするものであるから、右解釈の相違は、右租税措置法六五条の四、五に関する前記の解釈の妨げとはならない。所論の点に関する原審の判断は、結局、正当であり、原判決に所論の違法はない。また、所論のうち違憲をいう部分は、原審の右判断が違法であることを前提とするものであつて、その前提においてすでに失当である。論旨は採用することができない。
同二及び四について。
所論の点に関する原審の判断は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁伴官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判官 吉田豊 岡原昌男 小川信雄 大塚喜一郎)
上告理由書<省略>