最高裁判所第二小法廷 昭和49年(オ)515号 判決 1977年4月08日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人星野恒司の上告理由について
指名債権の債務者は、異議を留めずに債権の譲渡を承諾した場合であつても、譲渡人に対抗することのできる事由があることについて悪意の譲受人に対しては、右の事由をもつて対抗することができると解するのが相当であつて、所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、以上と異る見解に基づいて原判決を論難し、あるいは原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 吉田 豊 裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 本林 譲 裁判官 栗本一夫)