最高裁判所第二小法廷 昭和50年(オ)270号 判決 1978年6月16日
上告人
加藤弘文
被上告人
平塚富士見カントリークラブ
右代表者
黒川利雄
被上告人
湘南観光開発株式会社
右代表者
大森正男
右両名訴訟代理人
長谷部茂吉
外五名
主文
本件訴訟は、昭和五一年一二月一日上告人が死亡したことにより終了した。
理由
本訴は、被上告人平塚富士見カントリークラブ(以下「被上告クラブ」という。)が昭和四一年一〇月八日到達の書面をもつて上告人対し、その正会員である上告人を除名する旨を通告し、また、被上告人湘南観光開発株式会社(以下「被上告会社」という。)が同日到達の書面をもつて上告人に対し、被上告クラブにおいて上告人を除名したことを理由として、被上告会社所有のゴルフ場を上告人が使用しうる契約を解除する旨を通知したところから、上告人から被上告クラブ及び被上告会社を相手方とし、被上告クラブのした前記除名処分が違法、無効であると主張して、上告人が被上告クラブの正会員であることの確認を求めるとともに、被上告クラブ及び被上告会社は上告人に対しそのゴルフコースの全部(平塚コース及び大磯コース)を正会員として使用させなければならない旨の給付を求め、また、被上告会社に対する予備的請求として、被上告会社は上告人において二〇万円を預託するのと引換えに上告人に対し大磯コースを正会員として使用させなければならない旨の給付を求める訴訟である。
そこで、職権をもつて調査するに、記録によれば、上告人は、昭和五一年一二月一日、本訴が当審係属後に死亡するに至つたことが明らかであるところ、上告人の死亡当時における被上告クラブの会員資格喪失に関する定め(平塚富士見カントリークラブ運営規則一五条)中に、会員が死亡したときはその資格を失う旨の規定が存することが認められるから、被上告クラブの会員たる地位は一身専属的なものであつて、相続の対象となりえないものと解するのが相当である。
してみれば、上告人が被上告クラブの正会員であることを前提として提起された本訴については、上告人の死亡によりその相続人はこれを承継する適格を有しないものというべく、他にその適格を有するものは存しないから、本訴は昭和五一年一二月一日上告人の死亡により終了したものといわなければならない。
よつて、これを明確にするためその旨の宣言をすることとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(栗本一夫 大塚喜一郎 吉田豊 本林譲)