最高裁判所第二小法廷 昭和51年(オ)1287号 判決 1977年4月04日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人山下勉一の上告理由第二点について
農地の売買契約について知事の許可を受ける前であつても、買主が残代金全額を支払いのため提供したときは、民法五五七条にいう契約の履行の着手があつたものと解するのが相当である。所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、右判断が所論引用の判例に抵触するとは認められない。論旨は、採用することができない。
同第一点について
上告理由第二点の論旨の理由がないことは、前判示のとおりであるから、上告人のした契約解除はその効力を生じないことが明らかであり、所論は、原判決の結論に影響のない点についての法令違背を主張するものにすぎず、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲 裁判官 栗本一夫)