最高裁判所第二小法廷 昭和55年(オ)816号 判決 1981年1月30日
上告人 山木光一
被上告人 山木春子
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人○○○○の上告理由第一点について
所論は、和解の勧試を希望するというのであつて、適法な上告理由にあたらない。論旨は採用することができない。
同第二点について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する財産分与についての判断、又は証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
同第三点について
一、審判決が未成年者である訴外山木美佐子に対する親権者指定を脱漏し、原審も右親権者の指定について判断していないことは所論のとおりであるが、右親権者の指定については一審裁判所が追加判決をすべきものであるから、一審判決に右脱漏のあることは適法な上告理由にあたらない。論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗本一夫 裁判官 木下忠良 塚本重頼 鹽野宜慶 宮崎梧一)
上告代理人○○○○の上告理由
第一点、第二点<省略>
第三点 上告人と被上告人間の本訴離婚事件につき言渡された裁判所の判決は民法および人事訴訟手続法に違反している。
一、民法第八一九条第二項は「裁判上の離婚の場合には裁判所は父母の一方を親権者と定める。」と規定し人事訴訟法第一五条第五項は「前三項の規定は婚姻の取消又は離婚の訴に於て裁判所が父母の一方を親権者と定むる場合に之を準用す」と規定し同条第三項に「前二項の規定に依る裁判は判決主文に掲げて之を為すべし」と規定する。
二、本訴につき裁判所の右法律違反を理由の一つとすることは恐縮であり当事者双方が子の親権者指定に関しその主張を判然していないことは遺感でありますが判決確定後更に紛争をこじらせることは困ることになりますし特に上告人側としては重大な問題でありますので裁判所の御斟酌を賜りたく存じます。
三、上告人と被上告人は法律上夫婦であつた昭和四三年一〇月八日に、当時生れて二ヶ月余りの訴外大谷美佐子(昭和四三年八月五日生れ)を夫婦で養子とする縁組を結んでいるものであり、右山木美佐子は現在も未成年者であつて上告人と被上告人の法律上の親権に服している子である。
四、上告人は被上告人の了解が得られるならば本訴における裁判所の和解勧試を受ける際に右美佐子との養親子関係の解消等を含め根本的な解決を行ないたいと念じているものであります。
以上