最高裁判所第二小法廷 昭和57年(あ)1563号 決定 1985年11月25日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
弁護人布留川輝夫の上告趣意のうち、憲法三一条、八四条違反をいう点の実質は、本件の逋脱所得の金額の認定方法を論難する単なる法令違反の主張であり、その余の点は、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。
なお、租税逋脱犯における逋脱所得の金額を認定する方法として、一定期間の期首・期末の財産状態を比較することを基本にしてその期間の利益すなわち所得の金額を算定するいわゆる財産増減法を用いることも、許容されるべきものである(最高裁昭和五二年(あ)第一八〇八号同五四年一一月八日第二小法廷決定・刑集三三巻七号六九五頁参照)。
よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 木下忠良 裁判官 大橋 進 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 藤島 昭)