最高裁判所第二小法廷 昭和61年(オ)126号 判決 1986年11月07日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人杉谷政視、同小宮山昭一の上告理由について
小切手法一条五号、二条一項は、小切手の振出日を小切手要件と定め、その記載を欠くものは小切手としての効力を有しないものとしており、厳格な要式証券たる小切手においては、画一的取扱いにより取引の安全を保持すべきことが要請されているから、振出日白地の持参人払式小切手による支払のための呈示はその効力がなく、したがつて、振出人等に対する遡求権の行使もできないと解するのが相当である(最高裁昭和三九年(オ)第九六〇号同四一年一〇月一三日第一小法廷判決・民集二〇巻八号一六三二頁、同五七年(オ)第一四二六号同五八年三月三一日第一小法廷判決・裁判集民事一三八号四六三頁参照)。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤島 昭 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 香川保一 裁判官 林 藤之輔)