大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和62年(あ)958号 決定 1987年10月13日

本店所在地

仙台市卸町二丁目一番七号

セイブ商事株式会社

右代表者代表取締役

遠藤宜

右の者に対する法人税法違反被告事件について、昭和六二年七月一六日仙台高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から上告の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意は、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 藤島昭 裁判官 牧圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 香川保一 裁判官 奥野久之)

○上告趣意書

昭和六二年(あ)第九五八号

被告人 セイブ商事株式会社

右の者に対する法人税法違反被告事件について上告理由は左記のとおりであります。

昭和六二年九月二六日

右被告人 セイブ商事株式会社

代表者代表取締役 遠藤宜

最高裁判所第二小法廷 御中

原判決は刑の量定が甚だしく不当であって、これを破棄しなければ著しく正義に反すると思料する。

被告人に対する第一審判決は、罰金一、二五〇万円であり、さらに控訴棄却の控訴判決を受けたものであるところ、被告人には次の諸情状がある。

一 本件脱税の動機は

従来から経営の危機に在った被告人会社に、金政郁が代表者となるに及んで、いわゆる三店方式による事業の拡張、経営の安定等をはかり受取手数料の一部除外の挙に出たものであったが、本件所為により会社経営に係る者らの不法の利得を企図したものではない。

二 その脱税の方法は売上除外の一種であって、その手段、工作のやり方等は幼稚なものであり、特に悪質重大視さるべきものではない。

三 被告人会社は、税務当局の取調べに際しては、その非を認め、何だ隠すところなく協力的に終始したばかりか、本税、延滞税、加算税については、税務当局の捜査段階において全額を納付したものである。

四 被告人の本件脱税金額に対し同種事件の例に比しに本件刑の量定は、重きにすぎると思料する。

以上の如くであって、被告人に対しては、その刑を軽減しなければ正義に反すると思料する次第であります。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例