最高裁判所第二小法廷 昭和63年(オ)601号 判決 1989年10月13日
主文
本件訴訟は、昭和六三年七月一六日被上告人が死亡したことにより終了した。
理由
本訴は、昭和五六年九月一七日付届出による被上告人と上告人間の婚姻につき、被上告人において、右届出が自己の意思に基づかず、かつ、婚姻意思を欠くとの理由で婚姻の無効確認を求める訴訟である。
職権をもって調査するに、記録によれば、被上告人は、本訴が当審に係属した後の昭和六三年七月一六日に死亡するに至ったことが明らかであるところ、本件婚姻無効確認請求は、請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象となりえないものと解するのが相当であり、かつ、請求権者死亡の場合における訴訟承継に関する特別の規定も存しないことにかんがみると、本訴は、被上告人の死亡と同時に終了し、検察官を相手方として受継させる余地はないものというべきである。
よって、本件訴訟が終了したことを明確にするため、その旨の宣言をすることとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 香川保一 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 藤島 昭 裁判官 奥野久之)