大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)1121 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人小室薫上告趣意第一点について。

昭和二三年二月二四日附米国第八軍司令部司令官室より日本政府内務省警保局長

宛「日本の刀剣並びに銃砲の回収、類別及び処分」と題する覚書(APO三四三)

により、刀剣並びに銃砲の登録申請の受付及び処理を同年六月一日迄延長すること

が許可せられたことは所論のとおりであるが、右覚書は、美術品たる刀剣のように

昭和二一年勅令第三〇〇号所定の本来の期間中に申請をしていたならば所持の許可

を得ることができた筈なのに疎開その他のやむを得ない事情のためその手続をする

ことができなかつたものについて、右の事実に対する完全にして且つ簡明な釈明を

添えて申請がなされ都道府県警察当局においてこの釈明を真正であり情状酌量すべ

きものと思料する場合に申請者に対し懲罰手段に出てはならないとしたものであつ

て、所論のように右期間内に届出さえすればその武器の種類若しくは事情の如何に

拘らずすべてこれを処罰しないとしたものではない。

原判決認定の事実及び挙示の証拠によれば、被告人は昭和二一年勅令第三〇〇号

所定の期限である同年一〇月一五日以前から非戦災都市たる金沢市所在の住居にお

いて別段の事情もないのに引続き拳銃等を所持していたこと明白であり、昭和二三

年五月中右拳銃等不法所持のため所轄警察署に検挙せられた際に本来の期間中に登

録しなかつた事実に対する納得するに足る釈明のなかつたことはこれ亦記録に徴し

て明白なところである。

従つて、仮りに所論のように昭和二三年五月一五日頃所轄警察署え届出るつもり

であつたのが検挙のために不可能になつたのであるとしても、処罰を免るべき権利

を強制的に喪失せしめたのでないことは勿論であり被告人に対し刑罰を科すること

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が前記覚書の趣旨に背反しないことも明白である。又前記覚書所定の要件を充して

処罰せられないものが他にあるからといつて、その要件を充さない被告人を処罰す

ることが憲法第一四条に違反しないことは説明をする迄もないところである。

論旨は理由がない。

同第二点について。

犯情により科刑に差異があつても憲法第一四条に違反しないことは当裁判所の判

例とするところである(昭和二三年一〇月六日言渡同年(れ)第四三五号大法廷判

決参照)。 所論は原判決の量刑を非難するもので上告適法の理由とならない。

よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条に則り主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二四年四月二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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