大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)1681 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人中村喜一の上告趣意第一点について。

原判決の認定するところによれば、被告人は最初から強盗の目的で、被害者宅に

行き、午後一一時三〇分頃長さ二尺五寸、直径一寸位の竹棒を持ち、マントの帽子

で顔をかくし、懐中電灯で照しながら女主人に対し、金を出せと脅迫したというの

であり、右の事実は原判決挙示の証拠により認められるところであるから、これに

対し強盗罪の法条を適用した原判決に、所論のような擬律の錯誤ありということは

できない。論旨は理由がない。

同第二点について。

昭和二三年七月一四日の原審第三回公判期日については、弁護人小林亦治に対し、

適法に召喚状が送達された。しかるに同弁護人は右期日に公判に出頭しなかつたが、

他の弁護人中村喜一が出頭したので、裁判所は審理をすゝめた上、公判廷において、

次回続行期日を同年九月二〇日と指定し、関係人に対し出頭を命じた。しかるに小

林弁護人は右期日にも出頭せず、中村弁護人立会の上、公判手続の更新、中村弁護

人の弁論のあつた後、被告人は小林弁護人の弁論を抛棄する旨を述べ、裁判所は、

同日弁論を終結し、同月二九日に原審判決が言渡されたという、原審における事件

審理の経過であることは、一件記録上、明らかである。右のごとく、適法な召喚状

の送達を受けながら、弁護人がその期日に公判に出頭しなかつた場合、その公判に

おいて、裁判所が、次回期日を指定し訴訟関係人に出頭を命じた以上、その出頭命

令は、右期日を懈怠した弁護人に対しても、その効力を及ぼすものであつて、右弁

護人に対し、さらに召喚の手続を採る必要はないものと解しなければならない。と

すれば、原審が同年九月二〇日に指定された第四回公判期日について、特に小林弁

- 1 -

護人に対し召喚状の送達をしなかつたことをもつて、所論のごとく、弁護人召喚の

手続に違法あり、ひいては、弁護権を制限した違法があるということはできない。

論旨に掲げられた当裁判所の判例は、弁護人に対し適法な召喚手続の採られなかつ

た場合に関するものであつて、本件の場合に適切でない。論旨は理由がない。

よつて、刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。

右は、全裁判官一致の意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二四年三月二六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官小谷勝重は差し支えにつき署名捺印することができない。

裁判長裁判官 霜 山 精 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!