大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)1716 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人宮崎正己の上告趣意について。

横領罪は他人の物を保管する者が、他人の権利を排除して、ほしいままにこれを

処分すれば成立するのであつて、必らずしも自己の所有とし又はこれによつて利益

をうることを必要としない(昭和二三年(れ)第九三〇号同二四年六月二九日大法

廷判決参照)。本件において被告人は埼玉県北葛飾郡a村々長兼農業会(兼A配給

所)会長の職に在つて配給米麦の保管の責任を持つていて且右職務上村内食糧要配

給者に対する配給余剰米麦を保管していた以上、被告人が正規の手続によつて権限

を授与せられることなく、右配給余剰米麦を村内非農家地主十数名に又は農業会職

員B外一三名に或は同村非農家要配給者C外四四七名に譲渡し処分した以上、所論

のように被告人は一粒一銭も利得しなかつたとしても横領罪の成立を妨げるもので

はない。論旨は原判決は被告人に本件米麦を不法に領得する意思を実現する行為た

る事実の指示がないというけれども横領罪の成立に必要ないわゆる不法領得の意思

とは他人の物を保管する者が他人の権利を排除してほしいままにこれを処分する意

思をいうので必ずしも自己の利益取得を意図することを必要とするものではない。

そして原判決は被告人が職務上保管する本件米麦を、ほしいままに譲渡し即ち処分

した事実を判示しているのであるから原判決は被告人に領得の意思があつた事実を

認定判示したのであつて原判決は罪とならない事実を認定して有罪の言渡をした違

法ありということはできない。論旨は理由がない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に則り主文の通り判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 茂見義勝関与

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昭和二四年七月一六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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