大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)1846 判決

主 文

原判決を破毀する。

本件を札幌高等裁判所函館支部に差戻す。

理 由

弁護人土家建太郎の上告趣意について。

論旨第二の後段は被告人等は本件物件を取得した相手方乗組員が商船の単なる乗

組員であると信じていたもので、その乗組員が所論政令第一条にいわゆる聯合国占

領軍に附属若しくは随伴する者に該当することを認識しなかつたことは記録に照し

明かであると主張し従つて被告人等はその点に於て違法性の認識がなかつたに拘ら

ず右政令違反として有罪と判定したのは違法であるというにあるのである。よつて

按ずるに原判決の挙示した証拠のうち右の点に関するものは被告人A、同Bの原審

公判廷における「判示の如き米国汽船の乗組員から煙草を買う事は悪いと云うこと

は判つていた」旨の各供述及び被告人Cの第一審第二回公判調書記載の「日本では

自由貿易が許されていないから外国船の乗組員から勝手に品物を買う事が出来ない

ことは判つていた」旨の供述記載であるが右供述中の「買うことは悪い又は出来な

い」ということから直ちにその相手方の身分及び本件物件の性質に関する認識があ

り従つて本件政令違反の犯意があつたと認定することはできないのである。

然らば原判決が右の証拠によつて政令違反の犯意を認定したのは失当であつて論

旨はこの点において理由あり、原判決は破毀を免れない。

よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四七条第四四八条ノ二により主文の通り判決

する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

検察官 橋本乾三関与

昭和二四年五月二一日

- 1 -

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!