最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)2088 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人両名弁護人渡辺伝次郎上告趣意第一点について。
証拠調は、被告人に対する訊問終了後一括して之を為す必要なく、審理中、適時
之を為すことを得るものである。そこで、原審において所論診断書に対する証拠調
の有無を検するに、審理の途中である昭和二三年七月一日第二回公判期日において、
裁判長は所論の診断書を被告人等に対し読み聞かせ、証拠調をしていることは明ら
かである。論旨理由なし。
同第二点について。
記録を精査し、原審挙示の証拠を綜合すれば、原判示第二の恐喝未遂の事実は十
分に之を認めることができる。しかして此間実験則乃至論理の法則に違反するとこ
ろはない。論旨は理由がない。
同第三点について。
所論部分の記録を閲するに、所論指摘のとおり、文字挿入認印の欠如しているこ
とを認められる。然し公判調書における文字の挿入削除が法定の要式を欠いても、
直ちにその挿入削除を無効とすべきではなく、当該公判調書その他諸般の状況を勘
案してその有効無効を決すべきである。今所論指摘の挿入部分を見ると、その墨色
筆跡等、同公判調書全文の各それと全く同一であり、従つて同一立会書記において
正当に挿入記載されたものであるが、之に前示認印を施すのを遺忘した関係にある
ことを十分に推認し得られるのである。従つて右挿入記載は、同公判調書の正当な
内容を為すものといわなければならぬ。論旨は採用することができない。
仍つて、刑訴施行法第二条及び旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決す
る。
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此判決は全裁判官一致の意見である。
検察官 橋本乾三関与
昭和二四年六月一一日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
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