大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)246 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岡本安治の上告趣意は別紙添付の上告趣意書と題する書面の通りである。

同第一点について。

しかし原判決の挙示する各証拠を綜合すれば被告人外判示の四名が共謀の上判示

の傷害行為をした事実を認めることができる。論旨は結局原審のした証拠の取捨事

実の認定を攻撃するに帰着するのであつて、すべて上告適法の理由とならない。

同第二点について。

しかし被告人外四名が共謀の上本件傷害行為をしたものであることは前点におい

て説明の通りであるから、原判決が之を傷害の共同正犯として刑法第六十条第二百

四条を適用して処断したのは正当であつて、同法第二百六条又は第二百七条は本件

のような共同正犯の場合に対して適用すべき規定でないことは云うまでもないとこ

ろである。論旨はその独自の立場から本件の傷害が被告人外四名の相互に意思の連

絡のない独立の行為であることを主張し、之を前提として右両法条の適用を主張す

るものであつて、何れも採用に値しない。又刑事訴訟法第三百六十条第一項によつ

て判決に記載することを要求せられて居る罪となるべき事実を証拠により認めた理

由の説明は、どのような犯罪事実をどのような証拠で認めたかに付いて裁判官の推

理判断の由来するところを判決自体から知り得る程度に記載すれば足りるのであつ

て、必ずしも犯罪事実の各部分に付いて之に該当する証拠内容を一々具体的に挙示

する必要はない。原判決は判示傷害の事実のうち、傷害の部位程度を其の挙示する

医師の診断書で、其の他の傷害行為を其の挙示する他の各証拠を綜合して認定した

ものであることは、原判決自体で明瞭であるから、之を理由不備と云ふことはでき

ない。論旨は理由がない。

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同第三点について。

しかし原判決は被告人外四名がCに対して傷害を与えたのでCが恐れて居るのに

乗じて、被告人及び原審相被告人Dの両名は恐喝の犯意を生じて、Cから金員を喝

取したが、他の三名はその恐喝行為に参加しなかつた事実を認定したのであつて、

被告人が金員をCから受取るに際して論旨のいうように自己の為めのみに受取つた

のでなく五人の為めに受け取つたものであるとしても、又Cが被告人に金員を交付

するについても、五人の暴行を免れる為めに五人に交付する意思で偶々近くにいた

被告人に交付したものであるとしても、それは被告人に対する本件恐喝罪の成否に

は何の影響もないことである。要するに論旨は原審の採用していない証拠に基き、

或は原審の証拠に対し別異の解釈を施して原審の事実の認定を非難するに過ぎない

のであつて上告適法の理由とはならない。

同第四点について。

しかし論旨は本件犯行の情状につき縷々陳述して刑の執行を猶予するが相当であ

ると主張するものであつて結局原審の量刑の不当を主張するに帰着するものである

から、上告の適法の理由とはならない。

以上の如く本件上告はすべて理由がないから、之を棄却すべきものとして刑事訴

訟法第四百四十六条に則り主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 福尾彌太郎関与

昭和二十三年六月十二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

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裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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