大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)908 判決

主 文

原判決を破毀する。

本件を高松高等裁判所に差戻する。

理 由

弁護人横田真一の上告趣意第三点について。

原判決は、被告人の犯罪事実を認定する証拠として、第一審第一回公判調書中、

第一審相被告人Aの供述として同人は被告人に対し、昭和二一年度自己生産のうる

ち玄米三俵を代金三六〇〇円で売渡した旨の記載を挙げている。しかるに、同調書

によれば、Aは、判事が同人に対し、被告事件を告げ、本件につき陳述すべきこと

ありや否やを問うたのに対し、「私は米を売つたことはありませぬ」と答えている

外、判事の尋問に対しては、論旨に摘録されたとおりの陳述をしているのであり、

尚、その他にも玄米三俵を自宅より四丁位離れた附近まで運搬して、被告人に引渡

したこと及び同人が帰宅して、畳の上に上つて見ると新聞紙に三六〇〇円の金か包

んであつたこと、その金は、被告人がその後広島方面へ行つて、行先きが判らなか

つたので、そのまゝ返還はしていない旨の供述記載はあるけれども、以上の供述内

容をもつて、同人が被告人に玄米三俵を売渡した旨供述したものとは到底解するこ

とはできないし、その他には同調書中に右のごとく解し得る供述記載は存在しない

のである。如上Aの供述記載をとつて、被告人の判示同旨の供述に対する補強証拠

とすることは、もとより原審裁判所の自由裁量をもつて、なし得るところであるけ

れども、如上Aの供述をもつて被告人に玄米三俵を売渡した旨の供述であるとする

ことは到底是認し難いところであつて、この点において、原判決は証拠の趣旨をあ

やまり、虚無の証拠をとつて断罪の資料に供した違法あるものというの外はない。

しかして、この違法は判決に影響すること明白であるから、原判決は破毀すへきも

のである。

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よつて、その余の論旨に対する説明を省略し、刑事訴訟法第四四八条の二に従い

主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

検察官 十歳寺宗雄関与

昭和二三年一二月二四日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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