大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)914 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。

しかし憲法第二五条は、国家が国民一般に対し概括的に健康で文化的な最低限度

の生活を営み得るよう国政を運営すべき責務を負担せしめたものであるけれども、

この規定によつて、直接に個々の国民が、国家に対して、具体的現実的にかゝる権

利を有するものでないことは既に当裁判所の判例とするところである(昭和二三年

(れ)第二〇五号同年九月二九日大法廷判決参照)。従つてかりに所論の如く供出

米の割当量等に特殊の事情があつたとしても、同条により被告人の本件食糧管理法

違反の所為を正当化しその刑責を免かれしめるものではない。論旨は理由がない。

同第二点ついて。

しかし憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」というのは組織構

成等において偏頗の惧のない裁判所の裁判という意味であつて、個々の裁判の具体

的内容の当否には関係のないものであることは当裁判所が屡々判例として示すとこ

ろであり(昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決、昭和二二年

(れ)第四八号同二三年五月二六日大法廷判決参照)又被告人に対し実刑を科し刑

の執行を猶予しないからといつてその判決を目して憲法第一三条に保障する人権を

侵害したものといえないことも当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(

れ)第二〇一号同年三月二四日大法廷判決参照)から、これら憲法の規定あること

を理由に、或は判決の内容を非難し或は量刑を攻撃する論旨は上告適法の理由とし

て採用するを得ない。されば敍上の論旨を排斥した原判決は結局正当に帰するから

本件上告を棄却すべきものとし刑事訴訟法施行法第二条、旧刑事訴訟法第四四六条

を適用し主文のとおり判決する。

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右は裁判官全員一致の意見である。

検察官 十蔵寺宗雄関与

昭和二四年一月一一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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