大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和23(オ)107 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士国井俊雄の上告理由第一点について。

しかし原判決は昭和二一年一一月一九日本件当事者間に買受株代金(株式移転税

を含む)の支払を同月末日まで猶予すると共に若し同日までにその支払をしないと

きは本件委託契約を合意解除する特約の成立した事実を認定しており、原判決の引

用した証拠によつて右事実は十分認定できるのであるから原判決が上告人において

同月末日に至るも買受株代金の支払をしないので本件委託契約は遂に合意解除にな

つたと判断したことは正当である、従つて原判決には所論の如き違法なく論旨は理

由がない。

同第二点について。

しかし所論は全く原審の専権に属する証拠の取捨判断及び事実の認定を非難する

に過ぎないものであるから上告適法の理由とならない

同第三点について。

株式移転税は有価証券移転税法による税であつてそれは有価証券の取得者が納入

すべきものであることは同法第四条の規定するところである。ところが原判決の認

定したところによれば被上告人は上告人の買付委託にもとずき本件株式を落札した

というのであるから委託者たる上告人が同条にいわゆる「取得者」にあたるものと

解すべきである而して同法第一二条第二項によれば有価証券仲買人の取扱に依る有

価証券の移転については移転の際仲買人が納税義務者から移転税を徴収しこれを政

府に納むべきものとされているのであるから仲買人は右規定により委託者に対し移

転税を徴収する権利があり委託者は仲買人に対してこれを支払う義務があるものと

- 1 -

いわなければならない従つて若し仲買人が取得者から徴収するに先立つて移転税を

納めた場合にはその金額はこれを取得者に対して請求する法律上の権利があるもの

と解すべきである。

原判決の認定によれば被上告人は上告人の委託にもとずき本件株式を落札し、そ

の際右落札代金と共に株式移転税を支払つたというのであるから被上告人は前記理

由により上告人に対し右移転税に相当する金額の請求権を有するものと認むべきで

ある果して然らば原判決が本件株式移転税の支払義務の根拠を本件当事者間の暗黙

の合意に求めた点に所論のような違法があつたと仮定してもその違法は結局判決主

文に影響を及ぼさないから論旨は採用できない。

同第四点について、

しかし所論閉鎖機関の権限又はD証券株式会社の組織、業務の如何等を審究する

ことは本件を判断するに必要な事項ということはできない、従つて論旨は理由がな

い、

よつて民事訴訟法第四〇一条第九五条第八九条により主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!