大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)1242 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人山崎佐の上告趣意について。

原判決が被告人の殺意の点を、被告人に対する司法警察官の訊問調書中同人の自

分がAに斬付けたときは、死ぬなら死んでもよいと思つた。犯行後急いで駐在所に

行つたが其のとき傷が大きいから死んでしまつたかと思つた旨の供述記載によつて

認めていることは所論の通りである。しかし法律が何人も自己に不利益な唯一の証

拠が本人の自白である場合には有罪とされ又は刑罰を科せられないと規定したのは、

犯罪構成要件の一つ一つが独立して補強されなければならない趣旨でないことは当

裁判所の判例とするところである。即ち本件においていえば殺意に関する被告人の

自白だけで、他に罪体に関する証明とか、その他殺人罪の構成要件に関し何等の証

明がないにも拘らず、被告人を右自白だけで殺人罪に問擬したり又は処罰したりす

ることができない趣旨である。然るに本件では、傷害の部位程度及び死因の点は医

師B作成にかかる鑑定書と題する書面と押収にかかる手斧の存在とによつて認定さ

れているのである。この証拠は罪体に関する証明であつて、原判決はこの証拠と被

告人の原審公廷における供述と共に前記殺意に関する自白とを綜合して被告人を殺

人罪を以て処断したものと解すべきである。そして原判決挙示の証拠により判示事

実を認めるに難くないのである。されば原判決は刑訴応急措置法第一〇条第三項(

憲法第三八条第三項)に違背した点はなく論旨は採用できない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条により主文の通り判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二四年一一月一二日

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最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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