大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)1446 判決

主 文

原判決を破毀する。

本件を大阪高等裁判所に差戻す。

理 由

弁護人鈴木育仙の上告趣意について。

記録を見るに、AことB並びにCことDの両名に対し、原審公判廷において弁護

人より証人喚問の請求があつたにかかわらず原審はこの請求を却下しながら、右両

名に対する司法警察官代理の聴取書を断罪の証拠に供していることは正に所論指摘

のとおりである。そして右両名に対する司法警察官代理の聴取書を断罪の証拠に供

していることは正に所論指摘のとおりである。そして右両名に対する司法警察官代

理の聴取書の各記載は被告人の本件犯行を認定するに役立つたものであり、しかも

被告人は第一、二審を通じ、本件犯行を否認していることは一件記録上明らがであ

るから、前示弁護人の右両名に対する証人喚問の請求は、右聴取書の内容に関して

の訊問をも求める趣旨であると解することは当然である。そして右両名は第一審公

判廷においても証人として喚問された証跡のないことも記録上明らかであり、又原

審が右両名の証人喚問をしなかつたことに関し刑訴応急措置法第一二条第一項但書

の場合に該当する事由のあつたことも記録上何等これを認むることができないので

ある。しからば、原審が前示両名に対する司法警察官代理の聴取書を本件断罪の証

拠に採つたことは、刑訴応急措置法第一二条第一項本文の規定延いて憲法第三七条

第二項に違反した違法があるものと断ずるの外はなく(昭和二二年(れ)第八四号

昭和二三年四月二一日大法廷判決参照)、所論は理由があり、原判決はこの点にお

いて破毀を免がれない。そしてこの違法は本件事実の確定に影響を及ぼすものであ

ることは明らかである。

仍つて被告人E提出の上告趣意に対しては判断を省略し、刑訴施行法第二条旧刑

- 1 -

訴第四四七条及び同第四四八条の二の規定にしたがい、主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二四年七月三〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!