大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)170 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人向江璋悦の上告趣意第一点について。

刑法第五四条第一項後段の犯罪の手段たる行為というのは犯罪の性質上通常他の

種の犯罪の手段として用いられるものであるか否かを標準として定むべきものであ

ることは当裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第四四二号、同

年七月一七日第二小法廷判決)そして酒類の密造はその性質上通常必しも酒類を物

価統制令の条項に違反して販売する手段としてなされるものとは言うことができな

いから、原判決が本件酒税法違反の罪と物価統制令違反の罪とを併合罪として認め

たことは正当である。されば原判決には所論の違法はなく論旨は理由がない。

同第二点について。

統制額の超過販売等に関する物価統制令違反の罪は統制額を超えて売買すれば成

立するものであるから、原判決のように被告人が統制額を超えて所定の物品を販売

し又は買入れた事実を判示するを以て足り必しも所論のように超過額を明示する必

要はないのである。なる程原判決は物価統制令違反の事実を指示するのに、物価庁

告示指定の統制額それ自体を掲記はしていないけれども昭和二二年一二月一日物価

庁告示一〇七五号又は同年七月一七日物価庁告示第四〇六号と夫々掲記している以

上所論統制額は右告示によつて明であるから原判決には所論の告示指定の統制額及

び超過額の判示がないことを以て理由不備の違法があるということはできない。論

旨は理由がない。

同第三点について。

原判決は所論のようにその擬律において判示に該当する物価庁告示を掲記するの

が妥当であるけれども、判文全体を見れば原判決の摘示事実中に夫々当該告示が明

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示されているから、擬律においても夫々当該告示を適用する趣旨であることは明で

ある。従て原判決の擬律だけに右告示の掲記がないことを以て違法であるというこ

とはできない。

次に本件詐欺、同未遂罪及び物価統制令違反罪の各所為の中原判示第二の三の所

為を除くその余の所為は何れも昭和二二年一一月一五日以後のものであることは原

判文自体で明である。従て原判決が前記各罪について昭和二二年法律第一二四号で

削除された刑法第五五条を適用しなかつたのは正当であるから所論の違法はない。

最後に原判決が刑法第四七条を適用するに当り、その重い罪が何であるかを明示

していないから詐欺罪と物価統制令違反罪との何れの罪に法定の加重をしたか明で

ない嫌があるけれども、その何れの刑に従つても刑期は同一であつて主文に影響す

るところがないのであるから、之を破棄すべき違法があると認めることはできない。

以上論旨はすべて理由がない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に則り主文の通り判決する。右は

裁判官全員の一致した意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二四年七月九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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