最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)2055 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人広井薫の上告趣意第一点について。
しかし所論診断書には裂創とか爪掻傷と記載してあるからその部位からみて軽微
な程度のものであることを示しているのみならず、判示傷害の程度が治療約一週間
を要するものであることは右診断書の作成人たるA医師の第一審第二回公判調書中
の供述記載で明かであり原審はこれと右診断書の記載とを綜合して傷害の程度を判
示の如く認定しているのであるから原判決には所論の如き違法なく論旨はその理由
がない。
同第二点について。
しかしほつておいても癒る程度の傷であつてもそれが全治するまでに約一週間を
要するとすることは少しも矛盾するものではない、従つて原審が所論A証人の供述
記載を採用したことをもつて違法ということはできないから論旨は理由がない、
同第三点について。
所論は原判示の傷は極めて軽微の傷で身体傷害とはいえないというのであるが軽
微な傷でも人の健康状態に不良の変更を加えたものである以上刑法にいわゆる傷害
と認むべきであるから原判決が原判示の傷を傷害と認め被告人の所為をもつて刑法
第一八一条に問擬したのは正当で論旨は理由がない。
同第四点について。
原審において所論証人の喚問申請のあつたこと及び原審がこれを却下したことは
記録上明かであるが所論は証拠調の限度を定める原審の裁量を非難するもので上告
理由として採るに足りない。
弁護人松尾菊太郎の上告趣意第一点について。
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しかし原判決の事実摘示及び証拠説明により判示の傷害が被告人の暴行即ち被害
者の口を押え、モンペやズロースを引き下げた行為による結果であることは明瞭で
あるから原判決には所論の如き違法なく論旨はその理由がない。
同第二点について。
前記広井弁護人の上告趣意第三点に対し説明した如く本件傷害が軽微なものであ
つてもそれは明かに人の健康状態に不良の変更を加えたものであるから傷害と認め
るのが正当である。従つて論旨はその理由がない。
よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。
この判決は全裁判官一致の意見である。
検察官 茂見義勝関与
昭和二四年一二月一〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
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