大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)2494 判決

主 文

本件上告を棄却する

理 由

弁護人藤田馨の上告趣意第一、二点について

原審において被告人の弁護人として弁護士藤田馨及び同Aが選任されて居り原審

第三回公判調書によれば昭和二四年八月二六日の第三回公判期日には弁護人Aは出

頭せず被告人と弁護人藤田馨が出頭して開廷され藤田弁護人は弁論をしたが円山弁

護人の弁論は被告人においてこれを抛棄する旨陳べて結審されたことは所論のとお

りである、しかし記録によるとA弁護人は同年六月一〇日の第二回公判期日にも同

期日の指定告知を受けながら出頭しなかつたので原審裁判所は同弁護人に第三回公

判期日の召喚状を送達したのである、ところが同弁護人は右第三回公判期日にも何

等の理由なく出頭しなかつたものであることが明かである。そして右の如く適法に

召喚状の送達を受けた弁護人の一人が公判期日に出頭しない場合に他の弁護人が被

告人の為に弁論した後被告人が出頭しなかつた弁護人の弁論を抛棄した上結審して

もこれをもつて弁護権の行使を不法に制限したことにはならないと解すべきである

(昭和二三年(れ)第一九四四号、昭和二四年一二月二一日大法廷判決参照)、従

つて原判決には所論の如き弁護権の行使を不法に制限した違法があるとはいえない、

また憲法第三七条第三項には刑事被告人はいかなる場合にも資格を有する弁護人を

依頼することができると規定しているがこの被告人の権利は被告人が自ら行使すべ

きもので裁判所検察官等は被告人がこの権利を行使する機会を与えその行使を妨げ

なければいいのであることは当裁判所大法廷の判例(昭和二四年(れ)第二三八号、

同年一一月三〇日大法廷判例参照)とするところである、従つて被告人は弁護人を

選任するや否やを自由に決定することができるし、選任した弁護人を解任すること

も自由にできるのであるから公判期日に出頭しない弁護人の弁論を抛棄することも

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できるものと云わなければならない、然らば原審が前記の如くA弁護人不出頭のま

ま被告人においてA弁護人の弁論を抛棄した上結審判決したことは正当であつて前

記大法廷判決の趣旨からみて毫も憲法違反であるということはできない、それ故論

旨はいずれも理由がない。

同第三点について。

しかし賭博罪の事実を判示するには財物を賭け偶然の事情によりその財物の得喪

を争う事実を判示すれば足るのであつてその回数や賭金の多少等は必ずしもこれを

判示するの要はないのである、そして原判決は被告人は昭和二三年五月一六日午後

四時三〇分頃から午後五時一〇分頃迄の間山梨県東山梨郡a町bc番地B方座敷八

畳間で第一審相被告人C外一名と共に花札を使用し金銭を賭け俗に「コイコイ」と

称する賭博を常習としてしたものであると判示しているので賭博罪の事実の判示と

して間然するところはなく賭博の回数や賭金の額を判示しなかつたことは違法とは

云えない、また賭博の前科がありながら更に賭博をした事実から賭博の常習性を認

定することができることは論を俟たないところで原判決は被告人か判示前科がある

に拘らず本件賭博を行つたことによつて賭博の常習性を認定したもので本件賭博の

賭金の額及び回数を判示しなくともかかる認定をすることはできるのであるから原

判決には所論のような理由不備または理由齟齬の違法があるとはいえない、それ故

論旨は理由がない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

検察官 田中已代治関与

昭和二五年二月一〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

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裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤田八郎は差支につき署名捺印することができない

裁判長裁判官 霜 山 精 一

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