大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)285 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人山中唯二の上告趣意第一点同第二点について。

被告人に犯意がなかつたとする論首冒頭の主張は原審の専権に属する事実の認定

を非難するものであるから上告適法の理由にならない又被告人の知情の点について

も原判決挙示の証拠により之を認めるに十分である。次に論旨は本件乗船者中船を

運航しうるのはB一人だけであつて、しかも同人は始めから朝鮮まで船を運航する

意思はなかつたのであるからAに密輸出の意思があつても本件は不能犯であるとい

うのである。しかし貿易等臨時措置令第四条及び関税法の罰則等の特例に関する勅

令第一条第二項は何れも輸出入しようとした所為をも罰する旨を規定しているので

あるから、原判示のように朝鮮向けの密航船を仕立てて、税関の免許も受けずその

他法定の除外事由もないの右密船に指輪輪ライター等を多量に船積した第一審相被

告人Aの所為は前記両勅令の規定にいわゆる「物品の輸出をしようとした」もので

あることが明である。(昭和二三年(れ)第五〇号同年八月五日第一小法廷判決参

照)この場合に所論操縦者Bが始めから朝鮮まで運航する意思がなかつたとしても、

又右密航船の故障と称して途中から引返したとしても、それは朝鮮への密輸出入が

不能となつたまでであつて、前記Aが物品を密輸出しようとした犯罪の成立を妨げ

るものではない。然らば右Aが物品を密輸出入するの情を知りながら、同人に密輸

出入船舶の油代等の費用として金員を交付し同人をして之を以て密航船用油等を購

入せしめ右密輸出しようとする行為を容易ならしめた被告人の所為は、その幇助罪

を構成することが明である。論旨はいずれも理由がない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に則り主文の通り判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

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検察官 橋本乾三関与

昭和二四年七月二三日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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