大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)794 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人伊能幹一、小林直人の上告趣意第一点について。

農地調整法がその制定以後三次に亘つて改正された経過は所論のとおりであり、

原判決が本件において適用した同法第九条第三項及び第一七条ノ五第二号の規定に

ついても、本件犯行の後たる昭和二二年一二月法律第二四〇号によつて一部改正が

行われたのであるから、これら各条項を本件に適用するに当つては、その改正前の

ものであることを判決に明示するのが正当であるけれども、原判決は判示のごとく、

被告人が県知事の許可を受けないで、判示賃貸借を解約した事実に対して右各条項

を適用したものであることは、判文上、明らかであつて、右の事実に関する限り、

同条項は、前記改正の前たると、後たるとに、何ら変更はないのであるから、原判

決が特に、右改正前たることを明示しなかつたことは、結局、原判決に影響を及ぼ

さないものというべく、これをもつて、原判決を破毀すべき違法ということはでき

ない。論旨は理由がない。

同第二点について。

昭和二一年法律第四二号の附則に、農地調整法第九条第三項に関する読み替えの

規定があり、同二一年一一月勅令第五五六号農地調整法施行令附則に右読み替えの

時期に関する規定のあることは所論のとおりであり、原判決がこれら附則の規定を

適用しながら、これを判決に掲記しなかつたことは、法律の適用を判示するに、い

ささか明確を欠くの憾みがないではないけれども、原判決が右各規定を適用したも

のであることは、原判決の事実摘示と比照すれば、おのずから分明するのであるか

ら、これをもつて、原判決に所論のごとき違法ありとすることはできない。次に、

原判決は、被告人は、本件賃貸借の解約をするについて地方長官の許可を受けなか

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つた事実を確定しているのであるから、右許可申請の手続に関する所論同法施行規

則のごときは、これを本件において適用する必要はないのである。論旨はすべて理

由がない。

同第三点について。

所論原審第三回公判調書の記載によれば裁判長は、合議の上、証人Aの喚問申請

を却下する決定を告知したものであることがわかる(昭和二三年(れ)第一九二七

号昭和二四年四月二三日第二小法廷判決)のであるから、論旨は理由がない。

同第四点、第五点について。

原判決は、その犯罪認定の資料として、昭和二三年三月一五日附被告人に対する

司法警察官の聴取書及び同年五月二九日附Bに対する検察事務官の聴取書を採用し

たものであることは、原判決摘録の右各聴取書の内容の記載と記録編綴にかかる右

各聴取書とを比照すれば、おのずから明らかである。論旨は理由がない。

弁護人田坂戒三の上告趣意第一点について。

原判決は、被告人は昭和二二年四月頃に、県知事の許可を受けないで本件賃貸借

の解約をした事実を認定したのであり、右の事実は第一審判決認定の事実(検事は

原審において、この事実について公判を請求した)とその基礎たる事実関係におい

て別異のものでないことは明らかであつて、原判決挙示の証拠によれば、原判決摘

示の事実を認定することができる。論旨は結局原審の右事実の認定を非難するに帰

着するのであつて、上告適法の理由とすることはできない。

同第二点について。

原判決は、被告人の一方的解約の事実を認定したものであることは、前点説明し

たとおりであるから、本件が合意解除であることを前提とする論旨の理由のないこ

とは、特に説明するまでもないところである。

同第三点について。

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論旨は原審の量刑の不当を主張するものであるが、かかる事由は、適法な上告の

理由とすることはできない。

よつて、刑訴施行法第二条、旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

検察官 茂見義勝関与

昭和二四年七月九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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