大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)922 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人西野義夫の上告趣意第一点について。

しかし判示「十万円」については原判決は第一審第一回公判調書中被告人の供述

記載を証拠として挙示しているのであつて、その述べている所を見ると「要求金額

は十万円に間違ありません」(第一冊第二二八丁)とあるのである。又原判決挙示

の証拠中原審における受命判事の証人Aに対する訊問調書中同証人の供述としてそ

の関係部分につき判示に照応する被害顛末というのは被害顛末が判示に照応するも

のたることを右訊問調書の記載によつて観取しえられることを判示しているのであ

つて、そして左様に観取しえられる以上原判決の証拠説明を以て右Aの供述と背馳

すると言ふことはできない。よつて原判決には所論の如き違法はないから論旨は理

由がない。

同第二点について。

しかし原判決は判示第一事実を強盗未遂と認定しているのである。論旨は所論証

人の供述中強盗に該当する事実を省略し、被告人に有利な部分だけを摘録して原判

決の事実の認定を争うものに過ぎないから上告適法の理由とはならない。

同第三点について。

被告人の精神鑑定の結果その精神の発育状態が年令十五歳程度のものであつても、

本件犯行当時被告人の事実上の年令が満十六歳を超えていた以上、少年法が適用せ

られないことは同法の規定で明である。原判決は本件各犯行の当時心神耗弱者であ

つたからとして法律上の減軽をしたのであるが、更にその上所論のように酌量減軽

するか否かは原審の裁量に属するところであつて、従て之を非難する主張は上告適

法の理由とはならない。

- 1 -

同第四点について。

記録に徴するに、被告人が警察で自白を強要されたと認むべき形跡はないのであ

つて、論旨は強要されたと主張するだけで、それに対する証拠がないのであるから

採用することができない。従つて原判決は所論のような違法はないから論旨は理由

がない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に則り主文の通り判決する。

右は裁判官全員一致の意見である。

検察官 茂見義勝関与

昭和二四年六月四日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!