最高裁判所第二小法廷 昭和24(オ)134 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁理士築平二上告理由第一点について。
論旨は、原判決は、原判決添付B商標の要部を認定したが、その要部に圧倒的価
値があるか否かを十分に審理していないから、原判決には審理不尽延いて理由不備
の違法があるというのである。しかし、原判決はB商標について「その主要な部分
はライオンの頭部に外ならず、黒色に塗り潰された部分乃至は円形は格別の意味若
くは称呼を生じないものと認めるのが相当である」と認定判示しているのであつて、
所論のように圧倒的重要価値という表現を用いていなくても、原審は審理の結果、
ライオンの頭部に重要性を認めたことは明白であるから、毫も審理不尽或は理由不
備等の違法はないのである。また商標法第二条第一項第九号の類似商標に関する規
定は、商標の混同誤認を防止する目的をもつて設けられたものであつて、原判決が
いわゆる隔離的観察による場合、原判決添付のA商標とB商標とは混同誤認のおそ
れがあるから、これを類似するものと判断したとて、同法の類似の規定を不当に拡
張して解釈した違法あるものと言うことはできない。論旨は何れも理由がない。
同第二点第三点について。
論旨は、原判決添付の商標の指定商品とD商標の指定商品とは相牴触するにかか
わらず、原判決が右二つの商標の指定商品が異なるものと認定したのは違法である
というのである。そして上告人がこのような主張をする理由は、D商標が登録され
ているにかかわらずB商標が登録せられたことによつても、B商標からライオンな
る称呼並びに観念は生じないというためであるが、かりにB商標とD商標とが指定
商品において相牴触するものと仮定しても、それだけの理由でB商標からライオン
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の称呼や観念が生じないとは断ずることはできないのである。即ち本訴の争点はA
商標とB商標とが類似するかどうかの点であつて、したがつて後述するように、B
商標からライオンなる称呼や観念が生ずる以上、原判決がA商標はB商標と類似す
るものと認定判断したことに何等の違法はないのである。言い換えれば、たとえ原
判決にD商標とB商標の各指定商品についての認定に間違いがあつたとしても、本
件の争点であるA商標とB商標とは類似するものであるとの原判決の究極の判断に
は何等の影響のないものであるから、論旨は理由がない。
同第四点第五点第六点について。
論旨は、B商標に描かれているのは猫であると言い、或はB商標からは「クロタ
マライオン」「タマライオン」「クロタマネコ」「タマネコ」の称呼や観念を生ず
るものであると主張し、更にまたB商標の図形中の動物の首と黒色の部分に軽重が
ない等種々論ずるところがあるけれども、B商標は一見しても、ライオンの首を描
きその周囲の円を黒色に塗り潰したに過ぎないものであることは明白にこれを認め
ることができるのである。即ち原判決はB商標に関し右と同旨の認定判断を下し、
したがつてこれよりライオンの称呼並びに観念を生ずるものと認めた上、これとA
商標とを対比して両者は商標法第二条第一項第九号の類似商標と認定判断したもの
であつて、この間何等実験則違背その他所論のような違法の点あるを認め難いから、
論旨は到底採用に値いしない。
以上のとおり、本件上告は理由がないから、裁判官一致の意見により、民訴第四
〇一条第九五条第八九条に則り主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
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裁判官 藤 田 八 郎
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