大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)351 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人丸目美良の上告趣意第一点及び第二点について。

第一審判決は、その判示犯罪事実を被告人の同公判廷における自白だけで認定し

たのではなく、A作成の被害届及び盗難被害追加届をその補強証拠としたものであ

る。そして、右の各書面は被告人が同公判で、これを証拠とすることに同意した証

拠能力のある書面であり、その証拠調べも適法に為されている。したがつて、同判

決がこれを証拠としたのはもとより違法でない。もつとも、右各書面及び所論の上

申書によれば、本件被害物件の真の所有者はBであることが窺われるから、同判決

がこれをA所有と認定したのは明らかに誤りであるが、同人は右物件につき、保管

者として、所持を有していた事実は動かないところであり、盗犯は他人の所持を冒

す罪であるから、右の誤認は判決には少しも影響を及ぼさないものといわなければ

ならない。また、同判決が被告人の右自白だけで、被告人が本件窃盗の犯人である

こと及び共謀の事実を認定していることは、所論の通りであるが、補強証拠は必ず

しも犯罪構成要件の総べてに亘つて存しなければならないわけのものではなく、本

件の如く、被告人の自白と他の証拠とを綜合すれば、被告人の犯行事実が認定され

得る場合には被告人が犯人であることや共謀の事実の如きは、被告人の自白だけで

これを認めても違憲でないことは当裁判所の幾つかの判例の趣旨によつて明らかで

ある(昭和二二年(れ)第一五三号、同二三年六月九日大法廷判決、同年(れ)第

九四七号、同年一〇月二一日第一小法廷判決、同年(れ)第一八五一号、同二四年

四月七日同小法廷判決、昭和二三年(れ)第一三八二号、同二四年一一月二日大法

廷判決参照)。論旨は総べて理由がない。なお、本件については他に刑訴法第四一

一条を適用すべき事由も認められない。

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よつて、刑訴法第四〇八条に則り主文の通り判決する。

右は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二五年一一月一七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 河 村 又 介

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