大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)1698 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人永田菊四郎の上告趣意第一点について。

原判決はその理由中において「罪となるべき事実及びこれを認める証拠は総べ

て原審判決と同様であるから茲にこれを引用する」と判示しているのである、そし

て第一審判決をみると被告人の犯罪事実は第四の事実であつて所論摘録のとおりで

あるが第一審判決挙示の各証拠中右事実認定の資料となつたものは証拠説明中の一

の被告人A、同B、同Cの第一審公廷における各判示関係部分につき判示同旨の供

述と、三の中のD提出の盗難被害届に判示に照応する窃盗の被害顛末の記載であつ

て判示事実は以上の証拠による綜合認定にかかるものである、それゆえ第一審判決

は被告人の自白だけで犯罪事実を認定しているものではなく従つて原審判決もまた

被告人の自白だけで犯罪事実を認定したものでないことは勿論である、また賍物の

知情の点については被告人の自白が唯一の証拠であつてもかかる犯罪の主観的要件

に関する事実であつて、且つ他の証拠によつて右自白が架空なものでないと認めら

れる場合には刑訴応急措置法一〇条三項に違反するものということはできないので

あるから原判決に所論のような違法ありとはいえない、次に有償取得の点ついては

第一審判決挙示の前示証拠の綜合によつて十分に認定できるのであるから有償取得

をしたことについての補強証拠がないとの非難は全然当らないのである、従つて論

旨は採るを得ない。

同第二点について。

しかし原審がその公判廷における被告人の供述を採用しないで第一審公判廷にお

ける被告人の供述を採用したからといつて採証の法則を誤まり理由不備の違法があ

るとはいえない。所論は原審の自由裁量に委せられた証拠の採否を非難するもので

- 1 -

あつて上告適法の理由とならない。

よつて刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により主文のとおり判決する。

右は裁判官全員一致の意見である。

検察官 松本武裕関与

昭和二六年三月三〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!