大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25(オ)196 判決

主 文

本件上告を棄却する

上告費用は上告人の負担とする

理 由

上告代理人弁護士吉井晃の上告理由は末尾添付のとおりである。

上告理由第一乃至第四について。

論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨並びに事実の認定を非難し、或は原判決

の認定しない事実を主張して原判決を論難するものであつて、すべて採用すること

ができない。

上告理由第五について。

論旨は、被上告人に本件土地を所有せしめることは自作農創設特別措置法一条に

定める同法の目的に反すると主張するのであるが、農地買収の要件は同法に規定さ

れており、かりに同法一条の目的から言つて本件農地の買収が望ましいものである

と仮定しても、同法に定める買収の要件を備えない農地を買収することは同法の認

容しないところである。即ち原判決の適法に確定した事実によれば、被上告人は昭

和二〇年一一月二三日当時すでに在村していた者であるというのであるから、同日

現在の不在地主としてその所有農地を買収することのできないことは言うまでもな

いことである。

論旨は、また、本訴被上告人の請求につき、原裁判所は、行政特例法一一条によ

り、その請求を棄却すべきであると主張するけれども、原判決の確定する事実関係

によれば、本件買収を是認した上告人の訴願裁決を取消すことが、公共の福祉に適

合しないものとみとむべき何等の根拠も発見することはできない。論旨はすべて理

由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見により、

- 1 -

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!